「34歳の若き首相を生んだフィンランドが教えてくれた“信頼する”ということ」〜 コロナの時に国をまとめる若きリーダー 〜

5月に入りました。

昨日今日と例年ならメイデイのお祭りやピクニックに出かけるで人々で街がごった返すところですが、今年は想像を絶して静かです。

戦後史上始まって以来、緊急事態法が適応されたフィンランドですが、コロナ対策に良くも悪くも慣れ始め、人々は淡々とNew Normalな生活をおくっています。

先週の報道では各国民が予想以上に制限を遵守し、政府の決定に協力的であった為、ウィルスの感染拡大が非常に緩やかとなり、感染ピークは、なんと秋まで持ち越される、または緩やかな波のように上がったり下がったりと数回に分けてのピークが訪れるであろうと発表がありました。

国民感情としては複雑です。「信頼の国・フィンランド」がここでも証明されたことになりますが、最悪の医療破壊は回避できるとしても、経済の回復にはかなり時間がかかりそうです。

それでも、アメリカのように国民が2極化してしまわず、不安を抱えながらも一丸となり政府の決定を見守っている姿にこの国の成熟さを見ることができます。


34歳の若き女性首相、サンナ・マリン。彼女が首相になったのは昨年12月、34歳の誕生日を迎えてわずか一ヶ月後のことでした。前年に第一子を出産したばかりの若きママ首相の誕生でした。

もちろんその若さは話題にはなりましたが、大きな騒ぎになることはなく、また幼い頃に父親がアルコール依存症で両親が離婚し、その後母親とその女性パートナーに育てられたというレインボーファミリーの生い立ちについてもメディアで大きく取り上げられることもありませんでした。 

偶然にも現内閣は女性大臣が多く、その多くは30代前半、しかも苦労人が多く、色々な意味で海外で話題になり、逆輸入的に国内ニュースで取り上げたれたことを思い出します。


家族のあり方、社会的マイノリティーの存在、人種や文化の多様性と新しい価値観が語られるようになって久しいにもかかわらず、政治の世界となるとまだまだ時代遅れな国もあるようですが、フィンランドは“今”を生きています。

どのような家柄や学歴かではなく、どのような思想、ビジョンで何をしてきた人かが見られる時代です。



マリン首相は大学で行政科学を学び27歳で市議会議員に当選しました。(ちなみにフィンランドの市議会議員は基本無給ボランティアベースです。会議手当ては支給されますが、市議会議員は本職にはならないのです。ですから主婦、教員、農家、学生、医者、会社経営、スーパーの店員、、というように自分の職業を持ちながら地域政治に関わっている、本来あるべき姿です。)

翌年には早くも市議会の議長に選出され、同じ頃社会民主党の副議長にもなりました。そして30歳で国会議員となり33歳で運輸通信大臣、34歳で首相という道をたどっています。

なんという早さで一国の首相になられた方でしょう!

年月を重ねての経験は十分でないでしょう。ですが、1年1年と重要な役職に抜擢される背景には、その分野での管理能力と何よりも人格的な信頼があってのことに他ならないと思います。

未経験な部分は専門家の報告審議を信頼し、最終判断と責任は政府がとるというスタンスです。


コロナ対策においてはマリン政権は、いくつもの失敗も認めています。海外から帰国する人々の監視隔離体制の欠如、医療介護関連の備品調達の失敗など。各省庁の連携や情報共有が十分でなかったことも反省改善点として行動に移されています。

緊急事態や未経験の事態に関しては失敗も起こり得ることを認めた上で、真摯に受け取り、ひたすら改善する。そのための管理指導能力がトップとして最も大切なことではないかと思います。

互いに「信頼」を要求し、それをベースに真摯に決断を実行していく姿は、フィンランドの歴史背景や民族文化にまだまだ疎い私であっても、とても理解がしやすく感銘を受けます。

「信頼の国・フィンランド」。 

私たちは何もかもができる権力あるリーダーを求めているのではなく、信頼の置けるチームを作り運営する能力に長けたリーダーを必要としているのではないでしょうか?


私は今フィンランドから学んだ数多くの事柄の中の一つとして「サーバントリーダー」という言葉を思い出しています。

リーダーはリーダーとして祭り上げられる存在には決してなってはならず、“人々に仕える者“であるべきだということです。部下一人一人の能力を知り、最大限に生かせるリーダーが優れたリーダーである。

一人一人を知るということの根底には互いの信頼関係がなくてはなりません。




先週、マリン政権は初めての試みとして子ども向けのコロナ会見を行いました。子どもも社会で起こっていることに関心を持ち知る権利があります。そして参加し、責任を持った行動を決断することができます。 そして子ども達にも社会を政府を信頼して欲しいと願っています。 2歳の娘や家族のことも例に出し、今の不自由な生活のおかげで、どれだけ多くの人々の健康や未来が守られるかということをとてもわかりやすく、語りかけるように子ども達に丁寧に説明する首相をはじめとした大臣達の姿がありました。 未来の選挙権を持つ子ども達を社会の一員として取り込んでいく姿勢をマリン首相はじめ現政府のコロナ対応から見ることができ、不安な中にも心に喜びと平穏が保たれる不思議な感覚を持ってしまうのは私だけではないと思います。 政府への支持率が高い背景には女性首相の丁寧な語りかけの効果は確かにあると思います。ですが男性政治家にも父や兄のような安心と信頼を持てる方たちがいましたし、今もいるはずです。 何れにしても国民が信頼できる存在とは、その人の中に「愛があるか」ということだと思います。 私たち一人一人を向いてくれているかということ。 甘いことを言っていると言われるかもしれませんが、愛がなければ、すべては虚しいです。 性別、年齢、文化背景にかかわらず、政治をするということは人に尽くすということですから、愛がなければ意味がありません。

サンナ・マリン、34歳の女性首相はいたって普通の聡明な女性ですが、愛を生活の中に自ら感じて日々生きていることが困難にあっても、良きリーダーとして評価される所以ではないかと思います。

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