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「白夜のフィンランド」

執筆者の写真: ヒルトゥネン 久美子ヒルトゥネン 久美子

〜寒くても嬉しい夏。一年で一番幸せな時。〜

 この週末、フィンランドはミッドサマーを祝いました。一年の中で一番日が長い白夜のこの時期を北の国に暮らす、私たちは心待ちにしています。

ですが、今年の春は寒かった〜〜。

5月になっても霙が降り、一時は、もう夏が来ないんじゃないかと、かなり投げやりになっていました。

 でもちゃんと夏はやってきました。まだまだ涼しい夏ですが、白夜で外は夜11時になってもまだ明るいですし、小鳥たちは夜遅くまで、喜び歌い飛び回っています。気がついてみれば道端のいたるところに夏の野の花が花を咲かせていました。

鳥も花も文句を言わず、むしろいつまでも寒い寒いと不平を言っている私たちを励ますように元気に夏を祝っています。


 この週末、私も夏至祭を過ごすために田舎に行ってきました。 夏の家はフィンランド南東部にあるフィンランド最大(4.400km2)のサイマー湖のほとりにあります。

 夏至祭のイブの夜には、あちらこちらでコッコ(kokko)と呼ばれる焚き火をします。

昔は、悪いものを焼き払うという意味があったようです。このコッコを家族揃って見に出かけるのも夏至祭の習慣です。ちょうど雨も上がり、近所のキャンプ場の浮島に大きなコッコの準備ができていました。夕刻の9時に着火されると火は勢いよく燃え上がり、集まった人達は皆、喜んで記念撮影をし、そして互いに「良い夏を!」と挨拶を交わし、それぞれ夏小屋に戻っていきます。翌日もまた変わりやすい天候でした。

でも夜になり雨が上がったので、一人夜の散歩に出かけてみました。

9時でもまだ陽が森の木の間から差し込み、森の小径は全く怖くありません。

雨に濡れた木の葉から流れ出る、たくさんのアロマが森中に充満していて、とっても贅沢なアロマをお腹一杯吸い込みながら歩きました。


 夏の花の代表のルピナスはパープル、ピンク、ホワイトととても鮮やかです。葉っぱには水の雫が踊り、本当に綺麗。

森を過ぎ、上り坂の先にある橋から眺めたサイマー湖の眺めは素晴らしかったです。雲の間に顔を出そうと踊る太陽の力強さ。何者も太刀打ちできない壮大な力がそこにありました。一瞬たりとも同じ光景を繰り返さない目の前のスペクタル・ショーは絵画のような、またこの世のものではないような迫力で、私は「わぁ〜〜〜、凄い!」と一人心の深いところで感動しました。


自然って本当に凄いんです。

綺麗な姿だけではなく、寒かったり、暗かったり、雨が降ったりしても、「必ず変わって、成長していく」ことを教えてくれます。必ず太陽は出てきます。

 だから、夏が来ない、暖かくならない、と不平を言って閉じこもっているのはもったいないと大反省させられました。

「明日のことは思い悩むな」という言葉があります。

今、一年のうちで一番幸せな時、生命の力が漲る白夜の夏がやってきたのです。

明日の天気など気にせずに、白夜を感謝して楽しむことにします。

皆さんも良い夏を、お過ごしください。


 
 
 

Komen


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