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執筆者の写真ヒルトゥネン 久美子

「私達、地球の人間皆が立ち止まって振り返り、また未来を見直すとき」




「本当に、これは一大事なんだ。。。」って、今更ながらも顔が引き締まってしまった一昨日3月16日の政府閣僚の記者会見。

 世界中で注目を浴びた34歳の若きフィンランド女性首相、サンナ マリンが率いる内閣主要メンバーの会見は若い女性がずらりで圧倒される雰囲気。 

でも全体の雰囲気はとても落ち着いていて、説得力があり、納得のいく内容でした。丁寧な説明が長々と続きましたが、おそらくこのTV会見を見ていた多くの国民は茶々

を入れる人も少なかったように思います。 普段、批判的思考のニュース解説者とな

ってしまう我が夫でさえも、静かに聴き入ってしまったほど、この会見とテーマは全国

民を立ち止まらせ、深く考えさせられる時を与えてくれました。

「この決断は痛みを伴います。私たちは心地よい生活を手放さなくてはいけなくなりま

す。でも、なぜそうする必要があるのか。それは弱者を救うためです。もっとも危険に

さらされる高齢者を守るため、本当に治療が必要な人へ手当てを確実に提供するた

めです。 そのために、私たち一人一人が一丸となってこの時を乗り越えなくてはいけ

ないのです。」

 学校が遠隔授業になり、大人は自宅勤務を強いられ、10人以上の集会は禁止、70歳

以上の高齢者は事実上自宅に隔離。娯楽文化施設は閉鎖。。。。

マリン首相の発表は当然の内容でしたが、国民に対して“今の心地よい生活を手放

す”ことを要請する勇気、そしてそのことを“全国民が等しくやっていく”ことの重要さを

カメラに向かって淡々と伝える姿勢にはとても大きな信頼を感じましたし、フィンランド

の政治家に対して、尊敬の念を新たにすることができました。

政治家も一般市民も、裕福層も貧困層も、皆が同じ船に乗っていて、同じく不便さを

強いられることへの覚悟を示唆しました。

 1994年に教育改革で注目を浴びたフィンランドの若き教育大臣(当時29歳)オッリペッ

カ ヘイノネン氏も「一人たりともこの船から落とすことはできない」と全ての子ども達

に等しく質の高い教育を目指したことも思い出されました。

なんだか、考えるに健康・健全な社会って自分以外の“他”にも意識を向けることがで

きて、みんなの幸福度が高いことを喜びとするような社会なのではないかと思うので

す。

 地球のどこかで起きている災害や問題、または同じ国内で起こっていることでさえも、

その地域の人のことで自分とは関係のないものだとついつい見過ごしてしまう私たち

を反省したいです。

今このことを通して、地球のすべての人々の問題として、私たち自身の問題として、立

ち止まって考える時を与えられているのだと感じます。


私たちの在り様はどうだったでしょう?

“他”を無視あるいは軽視して生きてこなかったでしょうか?

何か本質がずれてきていないでしょうか?


 目の前のコロナは深刻な問題です。ヨーロッパの国境閉鎖、経済への打撃、そして多

くの人たちがストレスから心の病にも陥るでしょう。

でも、そんなことが予測される中でも、経済のみを優先するのではなく、人の健康と命

を守るための選択を最優先にした政府には信頼という言葉しか出てきません。

 政府が私たち国民の健康と命を、それもまずは弱者を優先しようとしてくれていること

にとても感謝な思いを持ちますし、だから、私たちも真剣に一丸とならなくてはと思い

ます。そして、このことを経験した私たちの未来では、“他”が幸せな社会の一員となれるこ

とを目標にしたいと思います。


 どんな未来に生きたいですか?

今みんなで一緒に立ち止まって振り返り、未来の在り方を考える時が与えられている

と思います。

 近所のムーミン公園は今日もガラガラ。早く子ども達が戻ってくるように祈ります。



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